龍崎眞一さん
「森と地域の調和を考える会」代表
(株)龍崎工務店代表
「森と地域の調和を考える会」の発起人です。
―なぜ森と地域の調和を考える会を作ったのですか?
龍崎さん:これはやっぱり危機感だろうね。このままいったら間違いなくこの地域はダメになることを分かっていながら、
何もやってこなかったから。誰か気が付いた人が一歩踏み出さなければならないと思ったことがきっかけだね。
―メンバーが集まった時の印象はどうでした?
龍崎さん:まず最初の取り組みは木の駅プロジェクトから始まったんだ。メンバーは最初、上手くいかないんじゃないかと
言ってたけど、私の感覚的には上手くいくと思ったんだよね。
木の駅プロジェクトを知った時に直感でこれは使えると思ったね。仮に木の駅プロジェクトが失敗しても一歩踏み
出すことが大事だと思ったんだよね。でも、まさか50人も出荷者が集まってくれると思わなかった。
それは、相河さんが参加商店をいっきにまとめてきたってのが一つなんだ。参加店が50店舗ほどあるのに出荷者が
少ないんじゃ格好がつかないなってことで、一人一人に話に行って、参加してくれると思ってなかった人まで参加
してくれたんだよね。
▶こちらの写真が記念すべき第一回目の木の駅プロジェクト美和。雨の中でも多くの方が参加してくれました。
―様々な取り組みで大切にしていることはありますか?
龍崎さん:いつも言うんだけど、こういう取り組みは連帯責任なんだよ。事故が起きたら、全て木の駅プロジェクトを中止す
ることにしています。だから一番重要視しなければならないのは事故リスク。地域活性化のためにこの活動をやっ
ているのはもちろんだけど、一番の目的は関わった人たちが幸せになることなんだよ。事故が起きても責任はとる
ことが出来ないから、絶対に無理しないでくださいって言って、活動期間は毎日事故が起きないか心配していた
ね。山の仕事ってのは玄人でもケガするくらい危険な仕事なんだよ。
▶木の駅プロジェクトの時の写真です。
―皆さんが自発的にボランティアを続けてくれる理由は何だと思いますか?
龍崎さん:何でだろうね。でもみんなが汗かいて終わった後にニコニコしているんだよね。だから我々が活性化をしている目的
を分かってるんだろうね。我々の活動に共感してくれているんだと思うよ。ボランティアをしてくれた人の汗は絶対
に無駄にしたくないってのはある。みんなと一緒に汗をかいたらその何十倍の成果を見せてあげるってのが重要。
▶高部舘整備時の写真です。
―活動によって何か地域で変わったことはありますか?
龍崎さん:実際に活動の効果ってのは、そんなに大きくは出てないかもしれないけど、絶対に何かしら地域全体の雰囲気は変わっ
ていると思うんだよね。雰囲気とか地域が作り出すものってのは、自然でも物でもない、人っていうエネルギーなんだ
よ。地域主体で活動をするってのはすごく大きいと思うんだよね。
▶オルレの時の写真です。
―確かに私もここで暮らしてみて、地域の雰囲気はすごくいいと思います。また、みなさんが活動に協力的ですよね。でも、まだ
これらの活動を知らない住民の方に、これからどうやって広めていこうと思っていますか?
龍崎さん:地域に区長会ってのがあるんだよ。区長会が我々の活動に共感できていれば、区長を通して、地域の人たちに広めるこ
とが出来ると思うんだよ。だから、地域全体を巻き込むことはできるんだよね。でも、私たちには、まだそれほどの力
も持っていないから、まずはできることをやっていこうと思っている。
▶岡山邸庭園整備時の写真です。
―では今後やっていきたい活動はありますか?
龍崎さん:地域活性化のための本腰を入れたいね。今やっている活動はイベントに過ぎないよね。活性化ってのは経済とか雇用と
か地域の人々の生活が成り立って初めてなるものだから。林業や農業の再生、観光、環境事業をしていくことが大事だ
よね。だから、都市部との関係を有効に活用していきたいと思う。ただ何でもない林道とか山道をトレッキングコース
にしたり、自然の癒しとか、都会にはないものを魅力として光らせていこうと考えているね。あとは、耕作放棄地を農
業の再生として使う他にも、見せる農業ってのをやっていきたい。この地域にあるものを上手く利用して、魅力にして
いきたいね。他にも、60歳過ぎた人たちってこの地域に詳しいんだよね。だから、第二の人生として地域に入って、農
業支援とか地域のガイド役とか新人の育成とかをやって、お年寄りが元気な地域にしていきたいと思ってる。地域活性
化に一番必要なのは人なんだよ。人のパワーってのはすごく大事。だから、地域活性化の先に人々が幸せになることを
目的に活動をやっていきたいね。
―活動で一番大切にしなければならないのは事故リスク。このことは、正直言って私も気づきませんでした。これらの活動は地域
活性化のための目的もあるが、一番は地域の人が幸せになること。本当にその通りだと思います。地域の人の幸せがあってこ
そ、地域が元気になるのだと思います。